本物の友達の基準って何?!
それだけ気に入ってくれているから、単独行動とかもしにくく気がかりだったりするのだ。
「あ、そういえば、美澄ちゃん今日の放課後暇?」
授業直前、クルリと振り返り葵ちゃんが話しかけてくる。
私はなんでかと思い首を傾げた後、
「今日は用事ある。」
と答えた。
葵ちゃんはそっかぁと呟いて少し考えた後、梨乃ちゃんに何か頼み込み、
「じゃあ、今日の昼放課は?
話があるんだけど…。」
と聞いてきた。
「大丈夫だよ。」
私が了承すると、ちょうどチャイムが鳴り葵ちゃんは前を向いた。
次の時間は国語。
教科書はほとんど届いていたが補助教材がまだ届いていなかったため、隣の席の陽翔くんに頼んで見せてもらった。
陽翔くんは優しくて、でも幼い一面もあって、ときどきドキッとしてしまった。
そんな調子で昼ご飯を食べて、昼放課。
毎放課私のところに来る静葉ちゃんが来ず、見ると梨乃ちゃんに連れられ教室を出ていった。
「早速だけど、この間は大丈夫だった?」
いきなり振り返りそう言う葵ちゃんに、何がか分からないと首を傾げる。
葵ちゃんはハッとして軽く謝った後、少し、何から話すべきか考えてから話し始めた。
「えっとね、静葉って結構わがままなんだよね。
前も、プリの落書き失敗したら、拗ねられたしね。
だからね、この間遊びに行った時大丈夫だったかなって。」
葵ちゃんは遠慮気味にそう言うと、目を伏せた。
私は少し前遊んだ時のことを思い出す。
「んー、私プリの落書き下手だけど、突っこまれるだけで特に何もなかったよ。」
私がそう言うと、葵ちゃんは驚いた様子で私を見た。
「意外…、あの静葉がねぇ…。
“あの子”ですら簡単な理由で絶交だって言われてるのに…。」
葵ちゃんの話を聞いて、私は苦笑いした。
静葉ちゃんがわがままなのはだいたい分かってたけれど、思っていた以上にわがまま女王様だったから。
「まあ、それだけ美澄ちゃんのこと気に入ってるのかな。
とりあえず、それだけ。」
葵ちゃんはそう言い微笑んだ。
話が途切れて、沈黙が流れる。
別に気まずくはないが、他の話をするべきかと少し考える。
「あ、そういえば、美澄ちゃんメアド教えてよ。」
気を遣ってくれてか、そう言った葵ちゃんに、頷き紙にメアドを書いて渡す。
「俺もほしい〜。」
なんて声が聞こえて見てみると、そこには陽翔くんがいた。
私はまた紙にメアドを書いて渡した。
ちょうどチャイムが鳴って、みんなバラバラと席に着く。
ふと見ると、静葉ちゃんももう席に着いていて、私の方を見ていた。
そして、目があったらニコリと微笑んでくれて、私もつられて微笑んだ。
放課後は静葉ちゃんとさっさと家に帰り、アクセサリーケースを買いに行った。
買ったアクセサリーケースには、まず静葉ちゃんにもらったイヤリングを入れる。
これで失くさないし壊れないだろう。