本物の友達の基準って何?!
写真のことは忘れて静葉ちゃんと話す。
静葉ちゃんもさっきのことは気にせず話していた。
「あ、お菓子持ってくるね!」
さっきまで普通に話していた静葉ちゃんが、いきなり立ち上がり部屋を出て行く。
そういえばついさっきまで携帯いじってたな…、と思い机を見るも、静葉ちゃんの携帯はなくて、恐らく持っていったことがわかった。
暇になり、その場から立ち上がり部屋を見て回った。
その時、静葉ちゃんの勉強机の上に、もう1つ写真が飾られていたのが目に入った。
今度のは4人写っていて、左上が梨乃ちゃん、右上が葵ちゃん、左下が静葉ちゃん、そして右下はさっきの写真にも写っていた女の子だった。
マジマジとその女の子を見つめてふと気づいた。
もしかして、この子が梨乃ちゃんの言っていた“木村このは”ではないのか、と。
そう思い勉強机の上の写真を見つめていると、背後でバサッと何かが落ちる音がした。
振り返ると、扉の近くで静葉ちゃんが突っ立っていて、静葉ちゃんの足元には袋入りのスナック菓子が転がっていた。
静葉ちゃんはそっと落とした物を拾うと、テーブルに置いて私を見た。
何も言わないのか何も言えないのか。
黙りこくってしまった静葉ちゃんと、流れる気まずい空気に耐えかねた私は、何か話をしようと話題を探す。
そして、
「この子って、木村このは?」
と気になったことを直球で聞いてしまった。
私の質問を聞いて、静葉ちゃんは諦めたように一息つくと、
「そうだよ。」
と写真の中の木村このはを睨みつけた。
「今は大嫌いだけどね。」
静葉ちゃんはそう言うと、ふふっと怪しく微笑んでから、いつもの笑顔でお菓子を振る舞ってくれた。
私はそれ以上何も聞かず、元の場所に座る。
私が座ったのを確認すると、静葉ちゃんは笑みを貼り付けたまま、
「美澄ちゃんは、陽翔のこと好きなの?」
なんて聞いてきた。
驚いて思わず目を見開く。
誤魔化すにも分かりやすい反応をしてしまったが故に、否定しても照れ隠しだとしか思われず、
「優しいな、とは思ってる。
ちょっといいなって思うくらいだよ。」
と素直に答えた。
静葉ちゃんは私の話を聞いてか、
「私、美澄ちゃんが相手なら手を引くよ。」
と笑顔でそう言った。
いきなりの意味深な言葉を言い放つ静葉ちゃんを、私は不思議そうに見つめた。
まさか、静葉ちゃんは陽翔くんのことが好きなのではという疑問が思い浮かんだ。
しかし聞こうと思った直後、露骨に話を逸らされてしまったため、聞くに聞けなかった。
その後は普通に話をして、家に帰った。
写真のことを考えるも、考えるだけ無駄だと開き直り寝ることにした。
考えるよりも、誰かに聞いた方が早いだろうし、私の知らないことも知っているはずだから。
朝起きて、いつも通り登校して、教室に入り席についてから、教室内を見渡してみる。
未だにあまり友達がいないから、聞ける人も少ないけど、まず誰に聞こうか考えながら、じっくりと見渡した。
ふと、目に入ったのは、隣の席の陽翔くんだった。
「ねえ陽翔くん、聞きたいことあるんだけどいい?」
ダメ元で聞いてみると、陽翔くんはニコッと笑って、
「もしかして平内のこと?」
とさらっと聞き返してきた。
まさか図星をつかれるとは思っていなかったため、ただただ頷くことしかできなかった。