本物の友達の基準って何?!
最近は静葉ちゃんも気まずさを感じているのか、前ほどベタベタはしなくなったが、相変わらず自分1人でウロウロすることはほぼ不可能であった。
1人になれた時は、これからどうするべきかを考えた。
このまま何も解決できないままだと、前に進めない。
だけど、他人の事情に首突っ込むのはどうも苦手で、未だに何もできずにいる自分にため息をついた。
このまま何もしないでいるわけにはいかないけど、でもどうすればいいのか分からない。
これが俗に言う死亡フラグってやつですか、なんて心の中で呟いた。
どうすればいいのか、ひたすら考えて考えて考えるも、私の思いも虚しく夏休みに入ってしまった。
何をするべきか考えるにはもってこいの長期休みだけど、夏休みが終わったらあと2ヶ月しか残されていない。
転校してきてからの2ヶ月があっという間だったというのに、2学期始まって新しい学校になれた頃の2ヶ月なんて、もっと早く感じるはず。
課題をやりながらそんなことを考えてため息をついた。
時折、机の上に置いてある携帯から流れる着信音に、ドキッとしたりするほど、考え事に夢中になっていた。
夏休み中は、静葉ちゃんからもこのはからも遊びのお誘いがあり、暇さえあれば遊んでいた。
遊んでいると、たまに思う。
このまま、中立的な立場にいてもいいんじゃないかと。
でも、何か行動を起こさないと、信頼を得たりはできない気がして、正直焦る。
そんなこんなで8月中旬頃。
このはから誘われて、2人で遊んでいた。
私の家で遊ぶことになったのだが、お菓子が何もないため、近くのスーパーまで2人で買いに行った。
ジュースは家にあるからと買ってなかったが、帰り道に喉が乾いてしまった。
偶然公園の側を通った時、自販機が目に入った。
「あ、ちょっとジュース買ってくるね。」
私がそう言うと、このはは荷物を預かってくれて、私はそのまま走って自販機に向かった。
ジュースを選んで買って、一口飲んでから戻ると、そこにこのはの姿はなかった。
辺りを見渡しているも見つからない。
恐らくそう遠くには行ってないだろうと、近くの公園を探すことにした。
ちょっと疲れてしまって、公園のベンチで休んでいるという可能性もあるからだ。
公園に入りキョロキョロしていると、ガサッと近くで音がした。
気になり近づいて行くと、徐々に話し声が聞こえてきて、誰かが揉めているのが分かった。
影になって周りから見えないところをそっと覗くと、このはを突き飛ばす見覚えのある人物たちがいた。
「何してるの?」
私の声に驚いて、その人たちはこのはから離れた。
「美澄、ちゃん?
あの、これは違って…。」
必死に弁解する彼女を私は冷たい目で見つめた。
このはに駆け寄り抱き上げると、このはは痛そうに腰の辺りを抑えた。
このはの髪はぐしゃぐしゃで、突き飛ばされた他にも何かやられた感じを漂わせていた。
未だに小さな声で必死に弁解しようとしている彼女を睨み付け、立ち上がる。
「ねえ、何してるの?
静葉ちゃん、梨乃ちゃん、葵ちゃん。」
ハッキリと冷たく言い放たれる言葉に、静葉ちゃんはビクッと肩を震わした。
イジメの現場を目撃されたからか、私がこのはの方についたからか、静葉ちゃんは悲しそうな顔をして下を向いた。
梨乃ちゃんは静葉ちゃんに寄り添い私を睨むも、少し引き気味である。
葵ちゃんはその場に立って、私をジッと見ているだけだった。
葵ちゃんは、「なんとかして」と頼み込むように目で訴えかけてくる。
私に解決できるかは分からないけど、イジメの現場を目撃したからにはと覚悟を決めた。
もう一度静葉ちゃんに「何してるの?」と問う。
「…このはをイジメてた。」
静葉ちゃんが案外アッサリ答えたので拍子抜けはしたが、話が進むので助かった。
しらばっくれられると話が進まなくなってしまうから。