本物の友達の基準って何?!




『美澄さんへ

無事を祈っています。また1ヶ月後、夢の中で会えることを祈っています。

このはさんと仲良くね。頑張って。

空』

天使様らしいシンプルで気遣いのできた手紙に、思わず笑みが零れた。

というか、天使様の本名って空だったんだと、改めて知る事実に驚いたりもした。

そうして学校に向かう準備を進め、家を出てこのはと登校した。

いつも通りいろんな話をしながら歩く。

毎日こうして登校してて、話が尽きないのがなんだか不思議である。

そんな中、このはがふと思いついたように、

「今日遊ばない?」

そう言いだした。

私は少し考えた後、いいよと返事をして笑いかけた。

たくさん話して学校に着いてからさっさと準備する。

そうして落書きノートに絵を描いて遊んでいると、ふと静葉ちゃんが近付いてきた。

「美澄ちゃん、」

静葉ちゃんは私の机の横に立つと、そっと静かに声をかけてきた。

そっと首を傾げる私に、静葉ちゃんは下を向いてモジモジとする。

「その、…ごめんね。」

やっとの思いで謝罪の言葉を言えたからか、静葉ちゃんの口元が少し緩む。

緊張が解けたその顔を見て、私もつられて頬が緩む。

「ううん、大丈夫。

私よりこのはに謝ってあげて。」

そう言いニコリと笑いかけると、静葉ちゃんはぱぁっと明るくなって大きく頷いた。

そのままルンルン気分で去っていった静葉ちゃんは、梨乃ちゃんと葵ちゃんのところへ行って何か話していた。

きっと謝れたということの報告だろう。

そうして静葉ちゃんは何か決意した顔をすると、そのまま教室を出て行った。

「おはよう。仲直りしたの?」

席に着き次第私の方を向いてニコリと笑いかける陽翔くんに、私は笑いかけて頷いた。

しばらくして、なんだか少しだけ大人びた表情をした静葉ちゃんが帰ってきた。

それと同時にチャイムが鳴ってみんな席に着いた。

その次の放課のことだった。

静葉ちゃんは少し頬を赤らめて、葵ちゃんに何かしら報告していた。

恐らくこのはと仲直りできたのだろう。

なんだかこちらまで嬉しくなり微かに笑みを浮かべていると、気付けば梨乃ちゃんが机の横に立っていた。

私が梨乃ちゃんの方を見ると、梨乃ちゃんはニコッと微笑んで、

「静葉のこと、許してくれてありがとう。」

と優しい声色でそう言った。

私が笑って答えると、満足したのか静葉ちゃんのところへ行ってしまった。

「まあ、仲直りできて良かったんじゃない?」

私と梨乃ちゃんの様子を見ていた陽翔くんはそう言いニコッと笑った。

私が笑って頷くと、陽翔くんもまた笑ってくれた。

栞ちゃんはなんだか納得いかなさそうだけど、それはいいや。

そうしてその放課後、約束通り、一旦家に帰ってからこのはの家に向かった。

このはのお母さんはこのはに似て明るく優しい人で、私を喜んで迎え入れてくれて、手作りのお菓子も振る舞ってくれた。

このはの部屋は、なんだか、何とも言えない普通な感じだった。

恐らく静葉ちゃんの部屋が女の子らし過ぎたのだろう。

そんな部屋でお菓子を頬張りながら、ジュースを飲み交わしながら話すことと言ったら1つだろう。

「それで?美澄ちゃんは好きな人いないの?」

ニヤニヤしながら聞いてくるこのはに、少しだけ呆れる。

ガールズトークといえば恋話なのだろうけど、定番過ぎてなんだかな。

そうは思いつつも、陽翔くんのことをかなり好きになりつつあった私には、話を逸らす必要もなくて。

「いるっちゃいるけどね。

あと、呼び捨てでいいよ。」

と違う話を交えつつ、さらっと告白してしまう。

このはは意外そうな顔をするも興味津々で、目を輝かせていた。

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