本物の友達の基準って何?!
その後陽翔くんとは別れて、このはと2人並んで帰った。
その間、陽翔くんと付き合うようになったことを報告した。
このははまるで自分のことのように喜んでくれて、そうして何か決意したような顔をすると、
「わ、私も智明に思い切って告白しようかな…。」
と私をちらりと見ながらそう言った。
私は頑張れと言ってニコリと笑いかけ、このはの背中を押した。
このはは思い切り頷くと、とうやって告白しようかとか呼び出そうかとか、いろいろと私に聞いてきた。
私はそこまで恋愛経験がないため、あまりタメになる話をすることはできなかったけれど、相談にはしっかり乗った。
もちろん、私の惚気話も聞いてもらったりした。
そうして日曜日。
このはと約束した朝早い時間に、約束した場所へ、言われた持ち物とお金を持って行く。
ここに来てから初めての遠出のため、ドキドキワクワクとした気持ちが抑えきれず、ついつい早く来てしまった。
しかしそれはこのはも同じだったようで、約束場所についてから数分でこのはがやって来た。
カーディガンを羽織り、白い花柄のロングスカートをはいて、いつもは三つ編みにされた髪をおろしてカチューシャをしているこのは。
対して私は、丈の短いワンピースに、ショートパンツをはいて、髪はポニーテールにしている。
可愛らしいこのはに対して、私はどちらかというとスポーティで、敗北感を覚えた。
でも、私らしければいいかと開き直り、このはと2人で電車に乗って遊園地に向かった。
フリーパスを買ってから広そうで楽しそうな遊園地に入り、早速ジェットコースターに乗る。
私は絶叫系が大好きで、このはもそのようなため、遊園地内で2人はしゃぎまくりいろんな乗り物に乗りまくった。
そんなこんなで昼近くになり、休憩もかねて園内の店でお昼ご飯を食べることにした。
お店に入り注文をしてから、早速気になっていたことを聞くことにした。
「このはさ、最近クラスの方はどう?
ほら、イジメとか…。」
私の質問に、あからさまに身体を震わし驚くこのは。
このはは1つ深呼吸してから、真剣な目で私を見ると、
「明日、勇気出して言ってみる。」
と決意したような声でハッキリとそう言った。
言ってみるという言葉だけでも、何を言うつもりなのかだいたい察せた。
「大丈夫?何が手伝うこととかない?」
心配でそう声をかけるも、このはは首を横に振って大丈夫だと答えた。
私のやりたいこととして書き出したものの1つ、それがこのはのイジメをなくすことだった。
だけど、このはが1人で大丈夫というなら、私が無理に干渉する必要もなさそうだ。
心配だけれど、大丈夫だろう。
「あ、そうだ。
帰りにプリクラ撮っていかない?」
このはは突然思い出したようにそう言った。
私も自分のやりたいこととして書き出したことを思い出し、勢い良く頷いた。
そうして2人で仲良くご飯を食べて、メリーゴーランドやら空中ブランコやら、ゆったりとした乗り物に乗ってからまた絶叫系に乗って、夕方頃に遊園地を出た。
その後電車で家からの最寄り駅まで帰って、ゲームセンターに寄ってプリクラだけ撮る。
やっぱりあまりうまく落書きはできなかったけど、楽しかったから問題ない。
そうして家に帰ってから、やりたいことリストに2つ、チェックを入れた。
その次の日。
このはは大丈夫だとは言ったけど、やはり少し心配ではあり、その日1日はソワソワしていた。
そうして放課後になり、珍しくまだ教室から出てこないこのはを迎えに隣のクラスに行った。
けれど、隣のクラスの前には人だかりができていて、なかなか近寄れそうにはなかった。