本物の友達の基準って何?!
先生の話が終わり、1時間目の準備をする。
とはいえまだ前の学校の教科書しかないため、隣の子に見せてもらうしかない。
「あの、教科書見せてもらってもいいかな?」
「あ、うん。いいよ。」
隣の子と机をくっつけ教科書を見せてもらう。
「私、平内 静葉っていうの。
よろしくね、美澄ちゃん。」
ニコリと笑う彼女につられて、私も微笑んで頷いた。
「うん、よろしくね。」
話しかけてもらえたことに安心しつつ、仲良くなれるか不安にもなる。
だけれど、天使様の言ったとおりに、こうした出会いを1つ1つ大切にしないと。
授業が終わり、次の時間の用意をしていると、ワイワイと私の周りに人が集まってきた。
「どこから来たの?」
だとか、
「今はどこに住んでるの?」
だとか、とにかく質問攻めされている。
すっかり忘れていたけど、私って一応転校生なんだっけ?
何の質問から答えようかあたふたしていると、急にガタンと大きな音がした。
驚いて音のした方を見ると、静葉ちゃんが席を立ち、私を質問攻めしている人たちを見ていた。
「みんな一斉に質問しすぎ!
美澄ちゃんが困ってるでしょ?」
静葉ちゃんは今にも頬を膨らましそうな顔でそう言った。
周りの人たちは文句を言いつつも、今度は1人1人質問をしてくる。
静葉ちゃんの言うとおり、質問攻めに困っていたため助かった。
チャイムが鳴り、みんなが慌てて席についた後、教科書を見せてくれる静葉ちゃんに、コソッと耳打ちした。
「ありがとう、助かった。」
静葉ちゃんは、
「どういたしまして。」
と言って微笑んだ。
なんだかこのまま仲良くなれそうだ。