本物の友達の基準って何?!
授業は前の学校と違うところをやっている教科もあって、ついていくのは大変に思えたが、
静葉ちゃんがいろいろ教えてくれたおかげで、なんとか今やってる範囲を理解することができた。
静葉ちゃんには、いくらお礼を言っても足りないだろう。
その日はそのまま終わり次の日、私は早めに家を出て、学校までの行き方を確認しながら歩いていた。
目印になる建物を探しながら、歩いていると、
「美澄ちゃん!」
ふと声をかけられた。
可愛らしい声には聞き覚えがあり、すぐに誰だか分かった。
「あ、静葉ちゃん、おはよう。」
ニコリと笑いかけてみると、静葉ちゃんも思い切り笑った。
人見知りというか、私はあまり社交的ではないため、うまく笑えているか不安だったが、
静葉ちゃんの笑顔を見て少し安心した。
どうやらうまく笑えているようだ。
「美澄ちゃん、私と同じ方面だったんだねー。」
ニコニコと楽しそうに笑う静葉ちゃんに、私はコクリと頷いた。
「静葉ちゃんは1人?」
「うん。友達がみーんな違う方面だからねー」
私の質問に、静葉ちゃんはシュンとした表情で答えた。
私も前の学校では、友人が違う方面でよく1人で帰ってたため、静葉ちゃんの気持ちはよくわかる。
自然と静葉ちゃんと並んで、2人で学校に向かう。
できれば今日のように偶然会った日だけでなく、できるだけ毎日一緒に登校したいものだ。
しかし、誘おうにもどう誘えばいいか分からず黙り込んでしまう。
そんな様子を見てか、
「ねぇ、美澄ちゃんも1人なの?」
と静葉ちゃんは話を広げた。
「うん、まだ転校してきたばっかだしね。」
「それなら、一緒に登校しない?」
私の言いたかったことを、こうもサラリと自然な流れで言える静葉ちゃんを心底尊敬してしまう。
そして何より、静葉ちゃんが「一緒に登校しよう」と誘ってくれたことが嬉しくて、
「いいの、ありがとう。」
そう言い微笑んだ。
思ったよりも順調で、“あの難題”が意外と簡単に思えた。