死んでもずっと友達だよ
海水が翔子の体全体にかかったとき、翔子は海水のあまりの冷たさに心臓が止まる思いがした。




翔子が海水の中の苦しさに耐えられずに、必死になって立ち上がると、夏希はさらに強い力で翔子を海の中へと引きずり込んでいった。




〈 止めて、夏希!

私は泳げないの!

私が浮き輪なしでは海にいられないのを夏希は知っているでしょ。

夏希はどうして私を困らせるの?

お願い、夏希。

私はまだ死にたくない…… 〉




翔子の体が、胸の高さまで海水につかったとき、翔子の頭の中に死がよぎった。




「翔子、久しぶりの海は楽しいね。

もっと沖まで行こうね。

ずっとずっと遠くまで……」




夏希がそう言って翔子の手を引っ張ったとき、翔子の顔が水面の中に沈んでいった。
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