死んでもずっと友達だよ
「お父さん、お母さん、私ね、たくさん勉強して大学に行きたいの。

それでね、友だちをたくさん作って、ずっとずっと、仲良しでいたいと思うの」




私がそう言うと、お父さんはこう答える。




「夏希、たくさん勉強して、自分のやりたいことをやりなさい。

悔いが残らないように、自分の夢を持って」




お母さんは、私にこう話しかけてくる。




「夏希は大学に行って、色んな人に出会って、素敵な人と恋をするといいわ。

人を好きになるのは、素敵なことだから。

きっと夏希の心を豊かにするから」




私はその幸せな空間の中で、お父さんとお母さんにたくさん話しかけるだろう。




自分の夢や将来のことを時間を忘れて話すだろう。




空想の中にいる私は、いつだって幸せだった。




でも私が部屋の中で目を開けたとき、私の空想はパッと消え去り、重苦しい現実が私を包み込む。




本当の私は、貧しい家庭の中で、少しも愛されることがないみじめな女子高生だ。




私はそんな自分が、嫌いで嫌いで仕方がなかった。




もしも私の夢が叶うなら、私は清水夏希から抜け出したい。




私は別人になって、まったく違う人生を歩みたい。
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