死んでもずっと友達だよ
香澄がいなくなってからも、浩太はしばらく練習を続けていた。




そして、浩太のシュートが、きれいな放物線を描いてバスケットリングに吸い込まれたとき、浩太はその日の練習に納得して、体育館に転がるバスケットボールを拾った。




〈 そろそろ帰るか、遅い時間だし。

オレのシュートの精度も上がったかな？

大会でも、次々シュートを決めてやるぜ 〉




浩太は体育館の電気を消して、校舎へと続く渡り廊下を歩いていた。




でもそのとき、浩太は誰もいないはずの体育館から、ボソリと低い声で話しかけられた。




｢浩太、今日の練習は終わりね。

お疲れさま｣




浩太は後ろから聞こえるその声に、ギクリとして立ち止まった。




いつもよりも低くて、不気味な声ではあったけど、浩太がその声を聞き間違えるはずはなかった。




浩太は目を見開き、その声の主のことを思うと、ゾッとして、心臓が早鐘を打ち始めた。
< 53 / 351 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop