死んでもずっと友達だよ
〈 夏希の言葉に答えたらダメだ。

夏希はもう、オレたちとは住む世界が違うから…… 。

だからオレは、夏希の言葉に振り返らない。

絶対に! 〉




振り返って、夏希の幽霊を見てはいけないという予感。




もし夏希の幽霊と目を合わせてしまったならば、何か恐ろしいことを招いてしまいそうな不安。




浩太は狂ったように早鐘を打つ胸の鼓動を感じながら、足早に昇降口を歩いていた。




「ねぇ、浩太。

どうしてそんなに急ぐの?」




浩太は必死になって、その声に耳を塞いだ。




「ねぇ、浩太。

ちょっと待ってよ。

一緒に歩こう」




浩太はその声にゾッとして、体が震えた。
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