まだ見ぬ先の行く末は
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
.......今ので最後の客か。
泉は、テーブルを慣れた手つきで片付けながら呟いた。
高校卒業後、もともとバイトしていたここのカフェのオーナーに誘われ、今は正社員として働いている。
家からもそんなに遠くはなく、スーパーや駅が近いので、オーナーから誘いがあったときは、すぐにOKした。
オーナーもスタッフも優しく、オシャレなこのカフェが、泉はとても気に入っていた。
「泉ちゃん、余ったブルーベリーケーキ、持っていく?」
「はい。いつもありがとうございます。」
オーナーは、180はある身長に、甘いマスクを持ち、髪を整え、少しヒゲをはやした、Mrダンディである。
泉にとっては、渋くてかっこいいお父さんのような存在であり、尊敬する人だ。