まだ見ぬ先の行く末は


ここ、カフェ「Aoi」の朝は早い。


パンが主としたメニューが多い為、早朝からパン作りをする。


鍵の管理などは当番制となっているが、結局は、ーナーが一番早くに来るか、夜遅くまで明日の準備などをするため、あまり意味を持たない。


「おはようございます、オーナー。」


「泉ちゃん、今日も早いね。おはよう。」


「オーナーの方が早いじゃないですか。て言うか、泉ちゃんっていうのやめてください。もう今年で24ですよ。」


「いやあ、高校生っていう泉ちゃんのイメージが取れなくてね。」


あはは、とオーナーはパンを作りながら笑う。


その目の下には、隈ができていた。


ここ最近、あまり満足に眠れていないのだろう。


オーナーの奥さんは、早くに病気で亡くなっており、今はオーナーがシングルファザーとして、2人の男の子を育てていると聞いた。


だが、ここで心配しても、無理をしてやせ我慢をする事は、オーナの人間性からでは、目に見えている。





< 4 / 9 >

この作品をシェア

pagetop