まだ見ぬ先の行く末は
ここ、カフェ「Aoi」の朝は早い。
パンが主としたメニューが多い為、早朝からパン作りをする。
鍵の管理などは当番制となっているが、結局は、ーナーが一番早くに来るか、夜遅くまで明日の準備などをするため、あまり意味を持たない。
「おはようございます、オーナー。」
「泉ちゃん、今日も早いね。おはよう。」
「オーナーの方が早いじゃないですか。て言うか、泉ちゃんっていうのやめてください。もう今年で24ですよ。」
「いやあ、高校生っていう泉ちゃんのイメージが取れなくてね。」
あはは、とオーナーはパンを作りながら笑う。
その目の下には、隈ができていた。
ここ最近、あまり満足に眠れていないのだろう。
オーナーの奥さんは、早くに病気で亡くなっており、今はオーナーがシングルファザーとして、2人の男の子を育てていると聞いた。
だが、ここで心配しても、無理をしてやせ我慢をする事は、オーナの人間性からでは、目に見えている。