まだ見ぬ先の行く末は
高校時代に、なぜ可愛いものは好きじゃないの?と聞いたとき、麻里子は、
『みんなの可愛いと、自分の可愛いが違うから、別に可愛いものが嫌いなわけじゃないよ。自分の世界で可愛いモノが好きなんだ。』
私はこの時、麻里子に深く感心した。
泉は、そんな常識にとらわれない、自由な麻里子がとても好きだ。
「そーいえば、オーナー、今日すごい張り切ってるよね。なんかあんのかね。」
「今日の昼に、甥っ子さんが来るんだってさ。」
ふーん、と麻里子はあまり興味無さそうに、羊羹を口にした。
「さてと、もうすぐオープンだし、行きましょうか麻里子さん。」
「今日天気いーから、お客さんたくさん来るぞー!」
忙しくなるね、と言って、泉はオープンの準備を始めた。