描きかけの星天
マンションのすぐ隣にはショッピングモールがあるのに、さらに向こうにある駅前のコンビニまで行ってくれたらしい。
混んでいたのかな?
それとも、店内に入って売り場を探して回っていると時間がかかるからかな?
いろいろと考えながら、肩から下げたポーチに手を突っ込んだ。財布をキャッチして引っ張り出すより早く、コウちゃんが引き止められる。
ぎゅっと手首を握るコウちゃんの手が冷たく感じられるのは汗のせいか。
「いいから、適当に食べなよ」
広げた買物袋の中には、おにぎりとサンドイッチとお菓子が窮屈そうにひしめき合っている。
「ありがとう、ヨシ兄たちの分もあるの?」
「いいや、俺らの分だけ、気にしないで好きなの食べなよ」
とは言うものの、どう見ても二人分にしては多いかも。だけど、ちょうどお腹が空いてきたところだったから嬉しい。
「本当にどれでもいい? コウちゃんが食べたいのはないの?」
「俺は気にしなくてもいい、何でも食べられるから」
にっと笑って、コウちゃんがペットボトルを口へと運ぶ。
私と同じ緑茶のペットボトルの表面についた水滴が、手を流れて腕へと伝い落ちていく。ごくりと喉を鳴らして目を細めるコウちゃんのずっと向こう側に、ヨシ兄と彼女らしき後ろ姿が小さく見えた。