(気まぐれっぽい)Queen
彼女は、皐月とくだらない言い合いをしている。
「司は…、アイツのことを好きになる可能性はないのか?」
突然、我らが総長 雅が聞いてきた。アイツとは彼女のことを指すのだろう。
クスリと笑が零れる。
「残念だけど、俺はああいう女(ヒト)がこの世で1番嫌いなんだ」
俺の言葉に悲しむ雅。
昔から、雅は人一倍優しくて、人一倍優柔不断だから、副総長の俺が支えていくんだ。
「あ、司くん。聞きたいことがあるんだけど…」
急に振り向いた彼女。この様子からすると、先程の会話は聞いてないようだ。
「ん?どうしたの?」
俺はひどいヤツだから、哀れな姫に優しく声を掛ける。
「それ!その胡散臭い笑顔…、出来ればやめて欲しいの」
は…?コイツは何を言っているんだ?
俺の気持ちも知らないで、のこのこと他人につけこんでくるコイツ。
そんな俺を知らないのか、まだ話を続けているコイツ。
「ほら、私達って仲間じゃん?だから…せめて私達だけの前では素でいて欲しいなって…」
仲間?違う。…俺達は何も関わっていない。許嫁も嘘。姫になる理由も嘘。俺の笑顔も嘘。全部全部、全部!…嘘なんだ。
「司くんにも、辛いことだったんだと思うんだけど…。それでも!できれば…話してほしいの。あなたの過去を」
辛いこと…?…もう、コイツの言葉にはうんざりだ。
「お前、勝手に言ってるけど…俺に辛かったことなんて、何も無かった。それを赤の他人のお前に言われる筋合いがないと思うんだけど」
「ッ…。私達は赤の他人なんかじゃっ…「赤の他人なんだよ。俺達はただ出会っただけ。仲間でもなければ、友達でもない。そんな関係なんだよ」
コイツの瞳も…、言葉も…全部が嫌だ。
「そんなふうにしか思えなかったの…?」
目を潤ませながら、消え入るような声で俺に問う。
「ああ!そうだよ、汚い俺だからそんなふうにしか思えないんだ!!だから何だよ!それがどうかしたか!?」
アイツの声と重なる。あぁ、そういえば こんなこと、前にもあったっけなぁ…。
俺がこんな風に怒鳴りまくったら、確かアイツは…。
_可哀想な人ね_
「司くんは可哀想だね」