(気まぐれっぽい)Queen
11月13日

俺も大分変わった。

カラダを売り始めてからは、女が薄汚い化け物にしか見えなくなるようになってしまった。

俺が媚びれば、性欲を押し付けてくる女。けど、お姉さんだけは違うと…、ずっと思ってたっけなぁ。

まあ、お姉さんは俺のことを、弟ぐらいにしか思ってなかったんだと思う。

けど俺には、性欲に塗れた女の元から帰ってくれば、元気に笑って出迎えてくれるお姉さんが、俺の唯一の光で 癒しだった。

だから…日に日に好きになっていったのかもな。

だって…俺は知ってる。あの日、お姉さんが泣いていたこと。暗い部屋の中、ポツンと小さくしゃがんで、声を漏らさないように、泣いていたのを。

『できればっ…司には…やらせたくなかったっ…』

今でも、頭の中に残ってる。きっと…悔しい顔をしていたんだろうな。だってお姉さんだから。

俺、お姉さんのこと 支えてあげたかったのに…。

「お姉さん。今日も行ってくるね」

「ん…。司、行ってらっしゃい」

今日も、また出掛ける。
お姉さんの為に。


俺は、気付いてた。気付いてたけど、気付きたくなかった。

お姉さんがやつれていたのに…信じたくなかった。
あの細かった腕が…さらにか弱くなったのを…知りたくなかった。

この時、気付いてればな…。そう思わずにはいられない。
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