(気まぐれっぽい)Queen
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「ここだな。萌花達がいるところは」
雅が目の前の建物を見上げながら呟く。町外れにそびえ立っている、この不気味な倉庫が彼女達を拘束している族のものなのだろう。
「オレらの姫さんを奪ったこと、たっぷり後悔させなきゃねぇ」
甘い笑顔でサラリと恐ろしいことを言う梅。表情はいつもと同じだが、はらわたが煮えくり返っているのだろう。……梅のことだから。
「行くぞ」
雅の言葉を引き金に、シャッターを蹴破る。
さあ、攻撃開始……出来なかった。
何故か、敵は全員伸びており、幹部らしき姿も見当たらない。
「…気を抜くなよ。もしかしたら…「あっ!!」
雅の言葉を遮った千畑。千畑は、なぜか奥の方を指していて。
「明かりが…漏れてる」
その原因のある扉を開ける(蹴って破壊)と、そこには…
得体のしらない男と、困惑した感じの松坂さん、そして…彼女がいた。
「…?美咲、誰か来たよ」
その男は、松坂さんに声を掛け…って、
「み、美咲ぃ!?」
俺と同じく、なぜ松坂さんを名前で呼んでいたのか疑問に思ったらしい皐月が、声に出してた。
やっと、俺達に気付いた松坂さん。
「…あぁ、どうも。福田くん達、来てくださったの?」
「あ「ブッ」
またもや、雅の言葉を遮ったやつがいた。それは…あの男だった。
「あははっ。…あの美咲が、変な言葉遣いしてる。『来てくださったの?』って…ブフッ」
思っていたよりも、気さくな人ならしい。ずっと笑っている。…腹を抱えながら。
「うるさい。あたしだって、こんな言葉遣いすることもあるの!」
いつもよりも口調が幼く、表情が豊かになっている松坂さん。…コレは、この男のおかげなのか。