(気まぐれっぽい)Queen
「…えっと、ミサちゃん。この方は…?」

戸惑いつつも聞いた小野さん。神だっ!

「あぁ、このチャラ男は「浜口 悠貴(ハマグチ ユウキ)。美咲の…元友人かなぁ」


「元友人ぅっ!?」

予想以上に驚く千畑。…どうしたのだろう?(真顔)

「バカ。今も昔も友人よ。…ってことで、よろしく。悪い奴じゃないからね」

いつもより子供らしい松坂さん。いつもと違う松坂さん。…これが素なのかな?

浜口悠貴と名乗るこの男は、亜希に負けないくらい、フワッフワの金髪の髪をしていて、何もかもを魅了するようなエメラルドな瞳。…俗に言うイケメンだ。


なんというか…、気まぐれな人というか、不思議な人というか…そんな感じをうける人だ。

「ってか、俺達が来るときに幹部らしき奴らがいなかったけど、平気だったのか?」

皐月も不審に思ったようだ。総長も幹部らしき人も、見当たらなかった。

「そうなの?…まあ、あたし達は平気よ」

ということは彼女も無事なのだろう。


「…葵…くんに、…司くん?」

ドクン

心臓が嫌な音を立てた。…そうだ。ここには彼女がいる。謝らないと…。

「…萌花。さっきは…ごめん。過去のことと重なって見えちゃって…おまけに危険にまで晒させちゃって…。俺、情けないよね、こんなことで勝手に怒って…萌花を傷つけて…」


ずっと、黙って俺の言っていることを聞いている彼女。

「…私も、無神経なこと言って…、司くんを傷つけました。それに…司くんは情けなくないです。人には、長所があり、短所があります。それが人間です!だから…気にしないでください」

「それでも俺は…「あのですねぇ。グチグチ言ってる人はモテないですよ。それにですね、私はそういう司くんの方が見てて面白いです。しかも、司くんは私を助けに来てくれた…それでおあいこです!!良いですかっ?!」

有無を言わせようとしない彼女…いや、萌花に笑ってしまう。

「うん。…俺、萌花のこと好きかも」

「んっ!?」


なんかギャーギャー言ってるけど、気にしない。俺の二番目の恋は、叶うといいなぁ。


「…なあ、そういえばよぉ。なんでミサは、コイツにだけ名前で呼ばせてんの?」

千畑がちょっと不機嫌そうに呟いた。


「…ッ…。そ、それは…」

松坂さんは、なぜか下に俯いて顔を隠してしまい、浜口さんはキョトンとした表情に変わった。

「え、っと…。ま、まさか…美咲、あのことを…?」

浜口さんは、本当に戸惑っているようだった…。

「…まだ、アイツとの「違うわよ。…ただ、アンタ達にしか言われたくなかっただけ。…そう、それだけ」

松坂さんは、俺達に話しているはずなのに、自分に言い聞かせているように聞こえた。

浜口さんが言いかけたことって、何なのだろう…?


「それはそうとして…。悠貴さんは……何故ここに……?」

気を取り直し、今まで空気状態だった時空くんが言う。やべ、存在忘れてた。

「…あぁ、それはね__…」




ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーー
ーーー


< 31 / 91 >

この作品をシェア

pagetop