(気まぐれっぽい)Queen
***

「う…」

ぼんやりと見えてきた周りの景色。見るからにして、倉庫っぽい。

私は、一本の太い柱に縛られていて、解こうとするが、上手くいかない。

そんなことをしていたら、扉の方から声が聞こえてきた。

ガチャ―

咄嗟に寝たふりをしてしまった。

「ふぅ。ったくよぉ、人1人運ぶのもやっとだぜ。腰が折れちまうっての」

男性の声が響き渡る。耳に障る声だ。

「ぶハッ。お前は爺さんか?」

もう1人男性がいたようで、ガラガラ声が響く。

この会話で出てきた“人1人”って、誰のこと…?

そう思いつつ、耳を澄ませて次の言葉を待つ。

ドサッ

乱暴に何か大きいものを置いたようだ。さっきの会話からして、その大きいものは人間なのだろう。


「ってか、コイツ起きるの遅くね?えーっと…アイツらの姫ちゃん」

「ぷっ。姫ちゃんって…、地味にウケる」

幸いなことに、私が起きてることは気づいてない。

「よし、確認したことだし。総長に伝えてこようぜ」

「だな。俺、小便行きてーんだよね」

「マジか」

パタン

男2人組は出て行った。周囲に人が居ないことを確認して、先程の置かれた人を見てみる。


その人は、髪の毛は絹のような茶髪で、腰ぐらいまである。おまけに銀色のピアスが光っていて__って、まさか…。


「ミサちゃん…!?」


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