(気まぐれっぽい)Queen
テリトリー
「だァかァらァ、私達は内谷くんに言われて来たのぉ。早く通してくれないかなぁ」
「桜………、落ち着いて……」
いつもより滑舌よく喋っている桜。流石に時空までもが落ち着かせようとした。こんな桜がイライラしているには、訳があって…。
内谷くんに言われたようにあたし達はKINGの倉庫の前に来た。で、入ろうとしたら、下の子かな?…その子達が中へ入らしてくれないのよね。
それでかれこれ10分ぐらい。ずっとこの状態だ。
「ミサちゃん……ヘルプ……」
あの時空までが、桜のあの態度に半泣きだ。こんな可愛らしい顔立ちの時空が半泣き。……ぬいぐるみみたい。
仕方ない。そう思い、あたしは桜と、頑なに入れてくれない子の間に行く。
「今度は何よっ……ミサちゃん!?」
桜が驚く。なんでこんな驚かれんの。
「あぁん?なんスか、アンタ」
…口が悪いわりには軽く丁寧語になってる不良くん。
「早く通してくれないかしら。それとも貴方達、わざわざ来てくれたお客様をもてなす常識もないの?大丈夫?貴方達のこ・こ」
そう言いながら、指でこめかみの部分を軽くつつく。悪い笑顔もプラスしてね。
「……ウッス。入ってくださいっス」
しばしの沈黙があったが、無事通してくれた。それも敬礼して。
「ありがとね、不良くん」
今度はとびっきりの笑顔でお礼を言った。萌花並の笑顔でね。
「ホントぉ、ミサちゃんって魔性の女だよねぇ」
「……ミサちゃんに、………惚れるヤツ…多くなっちゃう…」
2人がそんなことを呟いていたが、どうでも良かったから特に気にしなかった。
「ほら、2人とも行くわよ」
「はぁい」 「……うん」