(気まぐれっぽい)Queen
なぜか、倉庫の中は静まり返っていた。視線がバシバシと突き刺さってくる。
いやだなぁ。
途中、何度も猫背になりかけるが、すぐに背筋をピッとする。そして、堂々と不良くん達の間を歩く。
あたしの後ろには、桜と時空がいる。
今だけはちゃんとしていないといけない。なんたって、あたしがこの中で長みたいなものだから。
…まあ、そんな気サラサラないけど。
「ねえ、ミサちゃん。私達ぃどこ向かってるのぉ?」
桜が小声で聞いてきた。そこでハッとする。
そうなのだ。今、あたしは目的もなしに倉庫の奥へ歩いていたのだ。
適当に、奥の方に幹部がいるっしょ。なんて思いながら進んできたが、実際のところ、よく分からない。
今更、不良くん達に聞くのは少し気が引ける。
バッと効果音がなるぐらいの速さで後ろに振り向く。
そして、桜にずいっと顔を寄せる。
「桜…。どこ行けばいいの…?」
みるみる内に、桜の表情はムンクの叫びへと変わった。
「ちょっ…。今更なのぉ、ミサちゃん…っ」
桜もあたふたしている。勿論あたしも。ついでに、あたし達の会話を盗み聞きしていた時空も顔面蒼白。
本気でどうしよう…。
そう思っていたときだった。
「あ、あのぉ…」
ある1人の男子が、恐る恐る手を上げながらこちらに来た。
「案内…、した方がいいっスか?」
その少年は、金色の髪の毛でキラキラ光らせている。まさに、あたし達の天使(エンジェル)…!
軽く涙目になっていたあたし。
「よろしく頼むわ。…内谷くんの元へ案内してちょうだい」
助かった…!そんなことを思いながら、満面の笑みで少年の手を握った。
「そ、それじゃあ、案内するっスね」
戸惑いつつも、天使くんは内谷くんの元へ案内してくれた。