(気まぐれっぽい)Queen
萌花がKINGの姫になったと言ったあの日。桜は賛成とも、反対とも言っていなかった。
ただ、笑いながら桜はいたから、あたしは桜が賛成だと安心してたんだと思う。
けど違った。
きっと、内心では反対だったのだろう。
だって…。
昔から桜は特定の人にしか心を開かなかった。桜は、他人(ヒト)が自分のテリトリーに入るのを嫌っていたのだ。
まあ、萌花や葵は少し人見知りな部分があるかもしれないけど基本性格いい子達だし。桜も心を開いてくれた。
だから、自分のテリトリーに入ってきた萌花をKINGの姫にするのも、萌花と葵の間を、KINGの奴に邪魔させるのも。
全部嫌だったんだ。
けど…。
このまま、大人になるまでずっとテリトリーに入るのを嫌いだったら、桜がダメになる。
「ねえ、まだ自分のテリトリーを守ってるの?」
「……」
一か八か。桜はあたし達に心を開いてくれた。そう思っている。けど、もしかしたら…、本当は…。
「…そんなことないよぉ」
「っ…」
「そう言うミサちゃんこそぉ」
コツコツと近付いてくる桜。その距離は1mにも満たない。
ゴクリと唾を飲む。
「私と同類じゃない?」
何かが、あたしの中でガラガラと崩れていく。桜との友情?いや、違うな。
あたしの本心を隠していた壁が、…かな。
「それじゃあ、ミサちゃん。お先にぃ、入るねぇ」
_パタン
扉が閉まる。