(気まぐれっぽい)Queen
「ふーん…。これが噂の“KING”ねぇ…」
どこかつまらなそうに、柊くん達を頭からつま先まで見ているミサちゃん…。

そして、「まぁ、いいや」と言ってため息をついた。

「それじゃあ、萌花のこと 宜しくね。…特に柊くん。この子、寂しがり屋だから…。ということで、お先に失礼するわ」

淡々と言って、屋上から出ようとするミサちゃん。私のこと…嫌いなのかな?
そう思ったら、体が勝手に動いて…

「待って…!ミサちゃん、私のこと嫌いぃ?…私のこと 見捨てないでっ…」

ミサちゃんは、一瞬目を見開いたけど すぐにいつもの笑顔に戻って。

「…大丈夫よ。また後でね?」

確かに、ミサちゃんは いつもの表情だったけど…少し悲しそうに笑っていた…。

あ、と言い忘れていたのか扉の前で立ち止まった。

「別に。心配しないで」

そう言って、一度も振り向かないまま屋上を去っていった。
それでも…、私の目からは 水滴がポタポタと溢れてきて。

「萌花ちゃん!?どうしたのっ!?大丈夫??」
「柊くっ…違うのっ…。そうじゃないの…。ただ…嬉しくてっ」

「嬉しい…?」

“別に”

ミサちゃんのこの言葉の意味が分かっている葵くん、桜ちゃん、時空くんの3人は何も言わない。
柊くん達は…、ただ驚いていただけだった…。

「ミサっ…ちゃん」

私は、ミサちゃんの言葉が嬉しくて気付かなかったんだ…。

葵くんが 辛そうな、悲しそうな、そして嫉妬の目で 扉を見つめていたのを…。


萌花side _END_
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