(気まぐれっぽい)Queen

それから数秒したら、勢いよく扉が開いた。


「萌花…?」


少し息切れをしている葵くん。急いでたのかな…?頬がほんのり赤い。


「おはよう、葵くん。ごめんね、遅れちゃった?」


急いできたけれど、やっぱり間に合っていないかもしれない。


「ちゃんと間に合ってるから。…てか、早く入れよ、疲れただろ?」


「え…」


「萌花の顔見れば分かるし。ほら、ほっぺ、赤くなってる」


葵くんは私の頬を指でつつく。その仕草に恥ずかしくなって更に赤くなってしまう。


「ほっ、ほら。早く入ろっ」


赤くなっているのを見られたくないから、誤魔化すように葵くんの背中を押して家の中に入る。


すると、葵くんはピタリと動きを止めた。


「葵くん…?「可愛い」


「…え?」


「その私服、可愛い。似合ってる」


葵くんのその言葉に私も動きを止める。


“似合ってる”


ボボボボボと、顔が林檎みたいに真っ赤になってしまう。


「お邪魔、します…」


ポツリと、さっきのことに戸惑いつつ言う。
思いのほか、声が小さくなってしまった。
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