(気まぐれっぽい)Queen
「ほら、座ったら?」
「うん」
葵くんの部屋は、案外シンプルで綺麗だった。けど、ベッドの毛布に少し皺ができていたりと、所々生活感がある。
「「……」」
暫しの沈黙が流れる。なぜか、それに緊張してしまう。
葵くんも喋ろうとしない。そう、今日の葵くんはどこか変なのだ。
いつもなら、笑って何か話してくれる。なのに、今日は違う。そう、今日の葵くんはどこか変なのだ。
「あ、葵くん…。勉強、しよう?」
「おう。萌花はどこが苦手なんだよ」
こちらから何か話せば、言葉を返してくれる。だけど、なんか緊張する。
「えっと…、全部なの…」
恥ずかしくて、最後ら辺は声が小さくなる。葵くんの表情を見たくなくて、俯く。
そうすると、プッと吹き出す音が聞こえ、どうかしたのかと葵くんを見る。
「全教科かよっ…。ウヒャヒャヒャヒャ」
奇妙な笑い方だ。腹を抱えて笑っている。
「な、しょうがないじゃん…!私バカだから分からないんだもん」
「授業サボってるのに?」
「うっ…」
確かに、授業をサボっている。司くん達と一緒にいたいし?だから、まあ、私が悪いのだけれど…。
「ハハッ。本当、昔と変わらねーな、萌花は」
目尻に涙を溜めて、笑い過ぎたのか、頬が少し赤くなっている。そんな顔で優しく微笑まれたら、誰だって顔が赤くなるはず。
その通り、私は顔が真っ赤になった。
熱を感じるもん。
「沢山笑って満足したことだし、勉強やるか…」
「私は満足してない!」
私の主張を無視して、フフーンと鼻歌を歌う葵くんにイラッとして、軽くデコピンしてやる。
「いってっ!」
「よし、私も満足したことだし、勉強やろっか」
「てめっ…」
痛そうな葵くんを他所に、カバンから教科書を出す。そして、葵くんにページを開いた教科書を見せ、
「葵せんせー、教えて?」
コテンと首を傾げ、上目遣いで葵くんに言う。そうすれば、葵くんは段々と顔赤くなっていき、
「お、おう…」
そう言った。