(気まぐれっぽい)Queen


「ねえ、私と一緒にお茶しなぁい?」

「その子よりもぉ、私といる方が楽しいわよぉ」

「ねえ、おにいさん。付き合ってよぉ」


キャッキャウフフ。可愛らしいお姉さん達に囲まれているソイツ。


「えー?でも俺、待ち合わせしてるんだよね」


女の子が腕を絡めてきて、満更でもないようにヘラヘラ笑っているそいつ。
………そう、悠貴だ。


本当、チャラ男なんだよね…。昔からそうだった。今でも変わらない。
実際の年よりも、少し大人びて見える容姿。そりゃあもう恰好いいですよ。憎たらしい程に。


「あ、美咲じゃ「ほら、行くわよ。悠貴」


悠貴の言葉を遮る。そして、強引に悠貴の腕を引っ張りながら、この輪から抜け出す。


「ちょっ、腕痛いって」


「ふん。女子に囲まれてた罰よ」


チラリと横を見れば、悠貴がクスクスと笑っていた。


「なによ。文句ある?」


「いや、なんかそれって、ヤキモチみたいだな〜って思って」


「んなわけないでしょ。夢でも見てるんじゃないの?」


「う〜ん。…確かに、夢みてるかもしれない」


冗談だと思って悠貴を見ると、予想と反して、真顔だった。


「だって、今日は珍しく、美咲がフリフリの服着てるから」


一瞬、動きをとめる。なんだ、気づいてたんだ。
そして、悠貴は私の耳元で囁いた。


「服、すごく似合ってる」


耳元で喋るから、くすぐったい。
よくそんなセリフが言えるもんだ。だけど、嬉しいのもほんとで。
自分の頬が真っ赤になっていくのを感じる。


「……ばか」


「あはは、照れちゃってるの?かーわい」


ほっぺをつんつんされる。なんか、悠貴に負けた感じがした。


「……今日はどこに行くの?」


なんとなく、話を逸らす。目的もなしに歩くのは嫌なのだ。


「んー?どこ行こっかぁ」


「…ボウリングとか、喫茶店は?」


「おっ、美咲ナイス。俺も久しぶりにボウリングやりたい。その後に喫茶店行こっか」


ここから一番近いボウリング場は、ボウリング以外にも卓球やカラオケ、ゲームなどがある。


「ボウリング、絶対勝つから」


「ほほーう。美咲殿、受けて立とう」


こうして、あたし達はボウリング場に向かった。






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