(気まぐれっぽい)Queen
「……笑顔は花っていうアニメ」
「ああ、あれか」
「……知ってるの?」
「おう。妹が好きなんだ」
「じゃ、じゃあ!上杉櫂ってキャラクター知ってる?」
「みづきが片想いしてる男だろ?」
それからは、アニメの話に花が咲き、ずっと喋っていた。
名前は晴、といいなんとあたしよりも二つ年上だった。
晴とは話が合い、喋っていて楽しかった。
「なあ、美咲。母さんに謝ってこいよ。きっと、悲しんでるぜ?」
「うん……。お母さんに謝ってくる。ありがと、晴」
晴とバイバイをし、はしって家に戻った。家の中は、騒がしかった。
「ただいま……。お母さん?」
なんと、滅多に帰ってこないお父さんがいた。お父さんはズンズンとこちらに歩み寄ってきた。
ぱしん!
思いっきり、お父さんに頬を叩かれた。ジンジンと痛い。
「美咲!今までどこに行っていたんだ!」
すごい剣幕で怒鳴ってくるお父さん。確かに、お父さんは家出のことで怒っていたが、他にもなにかがあることはすぐにわかった。
「美咲っ……。母さんがっ……」
目の前が真っ暗になった。ああ、あたしはなんてことをしてしまったのだろう。
スウ、と一筋の涙が頬を伝った。
“母さんが車に撥ねられた”