方言溺愛おにーさん。




「な……」



「うつ病と別の大きな病気
抱えて入院してるんだ。


小さい時からお母さんより

面倒を見てくれててさ…。


お父さんが小さい頃死んで

今ではお母さんがおばあちゃんの

治療費のために会社で働きづめで。


家には誰も帰ってこないんだ……。


おばあちゃんは多分

僕のこと、覚えてないし、

それに、この傷……」



「!?」


弓場の背中に大きな傷跡が残っていた。



「お父さんが死んだ時、

お母さんにガラス瓶で毎日殴られててさ。

あぁ、僕は愛されてないんだなぁって。」



「……。」



「だから僕、臆病なんだ。


おばあちゃんに僕を覚えてるかも聞けない

お母さんに僕を愛しているのかも聞けない

本当に臆病なんだ……

坂町さんなら…聞ける…?」




私なら……?











「聞くよ。」






< 78 / 97 >

この作品をシェア

pagetop