今日は来る
未瑠は俺の方に
振り返った。




「あれ?傘ないの?」




俺はこくりとだけ
うなずいた。




「じゃあ私の傘
貸してあげる!
私こっから家近いし!」




そう言って傘を渡された。




「あっ・・・いや、
いいよ・・・。」




俺は断った。




それなのに未瑠は
無理矢理俺に持たせた。




「ぬれて帰ると
風邪ひいちゃうよ!ね!」




その時の未瑠の笑らった顔が
母さんの笑顔にそっくりだった。




未瑠は走って帰って行った。




俺は未瑠が見えなくなるまで
見つめていた。




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