今日は来る
「未瑠。なぁ、
俺の話を聞いてくれよ。」




「やだ!絶対やだ!」




智也が言いたいこと、
何となくわかるよ・・・。
でもそれは聞いちゃいけない。




私は抑えられている手を、
頑張って自分の耳に当てた。




そして、智也が何を言っているのか
わからないようにずっと
声を出していた。




「なぁ未瑠!未瑠!」




智也の声は全く聞こえない。




かろうじて口の動きで
何を言っているのかがわかった。




私はそれすら嫌だったから、目を閉じた。




聞こえていないのに、
さっきより大きな声を出した。




その時、私は声を出すのも忘れた。




耳に当てていた手は、
ゆっくりと地面に落ちた。




智也も、私から手を離した。




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