愛して。Ⅲ

あたしと蓮、大河がテントに着くと、スタンばっていた隼が一人一人に甘酒の入った紙コップを手渡す。

今日初詣に来ているのは4人だけ。他のメンバーは実家に帰っている。

そういえば甘酒って初めて飲むけど……美味しいのかな?

一口、飲んでみる。



「あ、美味しい」

「なんだコレ」



自然と溢れた言葉と共に聞こえたのは、蓮の嫌そうな声。

見上げると、顔を顰めている。



「蓮、甘酒ダメなの?」



隼が聞く。



「初めて飲んだ。真梨、コレやる」

「ええ、嫌いだからって押し付けないでよ」



口ではそう言いながら、嫌な気はしない。

あたしと一緒で蓮も初めてだったということが、なんとなく嬉しい。



「もう、しょうがないなぁ」



あたしはそう言いながら、2人分の甘酒を飲み干した。
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