ひまわりの約束ー君だけを、ずっと。[完]




ひまわりの迷路の中を、男の子はあたしをおぶって歩いていく。



『パパとママ心配してるかな……。あなたはひとりで来たの?』



『いや、友達と』



『え?友達は?』



『迷路の入口って3つあったじゃん?それぞれひとりずつ別の入口から入って、誰がいちばん最初にゴールするか競争してんだよ』



『そうだったんだ……あたしのせいでビリになっちゃうよね?』



『だろうな』



『ホント、ごめーんっ!うっ……ううっ……』



『いいから泣くなって。泣き虫だなぁー、おまえは』



『グスンッ。ごめんなさい……』



さっきからずっと。



――トクン、トクン。



鳴り止むことのない胸の音。



その音が聞こえてしまわないか心配で、あたしは時々、大きく深呼吸をした。
< 13 / 172 >

この作品をシェア

pagetop