ひまわりの約束ー君だけを、ずっと。[完]



『ありがとぉー!あたし、彩葉!五十嵐彩葉っ!ホントにホントにありがとぉ――!』



男の子は走ったまま振り返らずに、手だけ2回振ってくれた。



その姿を見て、あたしは微笑む。



――トクン、トクン。



胸の奥でいまも鳴り止まない音。



“じゃっ”と言って、ニコッて笑った顔に、



胸がもっと、ぎゅっと苦しくなった。



でも苦しいのに、嫌じゃない。



そんな不思議な痛み。



この痛み。

この胸の音。



なんでこんな気持ちになるの?



胸の奥が温かくて……うれしい気持ちに……。



『パパ、ママ……あたし……』



その理由は、すぐにわかった。



あたし……あの男の子に。



『恋しちゃったみたい……』



『ええっ!?』



そのとき、パパは、すごいショックな顔をしていて。



ママはそんなパパを見て、大笑いしてたっけ。






――ねぇ、ナツキくん。



いつかまた、逢えるといいな――。
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