ひまわりの約束ー君だけを、ずっと。[完]



「夏樹くん……ていうんだ?」



「あー、みんな呼び捨てだから。夏樹でいーよ」



いま目の前にいる夏樹くんが、あの時の“ナツキくん”ではないと。



わかっているのに。



それでも同じ名前の男の子には。



ナツキくんという男の子には。



あれから一度も出逢わなかったから。



思いがけない出来事に、つい動揺してしまった。



「どした?俺の顔になんかついてる?」



「え?ううんっ。じゃあ夏樹って呼ぶね。えっと、あたしは五十嵐彩葉」



あたしが自分の名前を言うと、彼はニコッと笑う。
< 24 / 172 >

この作品をシェア

pagetop