ひまわりの約束ー君だけを、ずっと。[完]
隣の席の男の子、名前は永瀬 陸斗(ながせ りくと)。
HRの最後に、先生が出席簿順でひとりずつ名前を呼んでくれて、彼の名前を知った。
チャイムが鳴り、カバンの中に物をしまったり、席を立ち上がるクラスメートたちで教室内がざわざわとし始めた。
隣の席の彼が立ち上がろうとしたとき、
「あ、あのっ!」
あたしは慌てて彼を呼び止める。
何も言わずに黙ったまま、無表情であたしを見る彼。
「隣の席だし、これからよろしくねっ。ふふっ」
笑顔のあたしと、一瞬顔をしかめて、うざそうな表情をした彼。
――ズキッ。
少し胸の痛みを感じたけど、それを打ち消すかのようにあたしは明るい声で言った。
「陸斗くんって呼んでもいい?」
「…………」
顔を歪めたまま黙り込む彼に、あたしはめげずに続ける。
「あたしのことはみんな彩葉って呼んでるんだっ。だから……」
「…………」
……もう。
なんか言ってよ。
「あ、そっか。もしかして、まだあたしの名前覚えてないよね?あたし、五十嵐彩葉」
陸斗くんは表情を変えずに黙ったまま、あたしの顔をジッと見つめる。