ひまわりの約束ー君だけを、ずっと。[完]
「痛いよぉ、夏樹……」
胸がぎゅっとなる。
“ナツキ”
その名前を口に出して言うことに、まだ慣れていない。
切なく、温かい。
そんな不思議な気持ちになるのは、
あの夏の日から7年もの間、心の中でずっと大切にしまっておいた名前だから。
いま目の前にいる夏樹は、あのときのナツキくんではないとわかっているけど。
それでも夏樹の名前を呼ぶたびに、あの男の子を思い出すような気がした。
あたしは初恋を心のどこかでまだ、引きずっているのかもしれない。
「夏樹っ」
そのとき、教室の入口のほうから可愛らしい声が聞こえてきた。