あの日の雪を溶かすように
「…」
「…」

「ごっ…ごめん、なんかこんなんなって…」
先に口を開いたのは桜の方だった。

「…別にいいよ。」
アリスはまだ乾かない声で答えた。アリスはこの時、正直ホッとしていた。

「…話、ずれたけど、その、正直に言うと、
俺、アリスに話しかけた最初の日から知ってたんだ。
 アリスの…両親が、俺のと同じカンジでっていうか…
えっと…同じ境遇?…で、亡くなったってこと。噂だったけど…」

アリスは深いため息をつくと動揺もせずに答えた。
「…だから話しかけた?」

「うーん…それも半分。」

「後の半分は?」
すばやくアリスは答えた。
彼女は意外にこういった謎掛けに対して異常に答えを求めようとする。
キャラを守っていくには「ふーん…そぅ。」とか冷たい態度をとるべきだが、
アリスの貪欲な欲求にはキャラなんか二の次だった。
というより、この時のアリスにはそんなこと頭の隅にも無かったことだが。

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