あの日の雪を溶かすように
「何でって、何で?ん?
何でだったっけ?…あ!そーだ。そーそー。
初バイトの日にチョー怖かったんすよ先輩が!」

「えっ?何?」

「何か暗かったってゆーか、喧嘩上等!みたいな空気でてたんすよぉ。先輩。
愛想も最悪だったし。ひとこッとも喋んねーし。
ず~っと『何この人こえぇ~。』って思ってましたもん。私。
そんで後、絶対年上だと思ってました。
てゅーか、年下とかマジで考えてもなかったんですよ。詐欺レベルっすよ。詐欺。もはや、詐欺。」
今度は葵が水を飲みながら言った。

「…そんなだったかな?」
アリスが少し顔を赤らめる。

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