あの日の雪を溶かすように
それから、二人でバイトに入った。

「今日はシュウ君、来ないんですか?」
客のいないコンビニで、葵が呟くように言った。

「さぁ、どーだろーね。」


アリスはこの時、
彼が来るのを期待してしまっている自分に気付いていた。

「ねぇ、先輩ッ
見て見て!雪降ってきちゃいましたよ~ッ!」

葵の視線を追うと、ガラスの自動ドアの向こうで、
少しずつ、確かに小さな雪が舞っていた。


「…へぇ。早いな。まだ12月に なったばっかなのに 」

「えへへ。雪って、いいですよね。
見てるだけで、幸せ~な気分になりますもん。
特にあんな、ホワホワした感じの、暖かい雪は。
あっ。でも、実際ちょっと寒いですけど。」

葵は眼を輝せていた。




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