あの日の雪を溶かすように
「えっ?」

葵の間の抜けた返事と、困惑したような表情を見て、
アリスは言い直した。

「だから、つまり…
私が倒れたのって、ほんの何秒か前かな?
それとも、もう何分か経ってる?」

「…
えっ…と、つい、さっき、だから、
先輩がクラッとなって、起きるまでは…
5秒くらいでしたけど…」

困惑したままの表情で、葵が答えた。

「…そ。ありがと。
心配するなよ。ただのメマイだって。
…でも、ちょっと今日は帰るわ 一応。後よろしく。」
アリスは奥に入って上着を着ると、そのまま
コンビニを後にした。

葵はアリスの背中を見ながら、自分の中の
あり得ない不安感を、必死に払拭しようとしていた。

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