あの日の雪を溶かすように


「嘘じゃないよ。冗談でも、何でも無い。
…この前、バイクに轢かれた時の病院でさ、レントゲン撮ってわかったらしぃんだ。
黙ってて、ゴメンな。」

「…」

「…病名とかは知りたくも無くてさ…胸がズキズキするから…なんだろうな。
乳癌かな?肺ガンとかかも…わかんないよ。」


「…」


「…なぁ、葵。
何で病院行ってないか、聞いてくれるかな?…
いや、別に怖いとかは……あるかもね。何の病気か解るのが怖いってのも。でも、1番は違う。
1番の理由…病院に行かない1番の理由は、アレなんだ。」

「…」

「…私さ、その…
ぶっちゃけると、自殺しようとか、考えてた。
かなり本気で。」

「…」

「…引くよな。ゴメンな。いや、良いんだ。
…もう、そんな考え、捨てたから。
今は、全然。
…寿命まで、生きてみよう、とか、決意してみた。ハハッ。」

「…」

「…なんか、そんなこと、葵に言いたかったんだ…」

「…」

「…ゴメンな。あの…これでドン引きしちゃって、私たちの友情終わりッての、しょうがないって思ってる。
今更死ぬとか言うのも、なんか卑怯だしさ…

だから…今までアリガトな。葵。君がいなかったら、私、もっと早く死んでたと思う。」

「…」

「…バイトは、もう辞めるよ。その…
もう会うコト、無いかもだけど、もし…!」

プッ

ツー… ツー…


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