あの日の雪を溶かすように
「…私は、先輩と違うんです!全部違う!先輩はいつだって一人!
…私には、たくさん 支えてくれる人がいる!!
先輩と違って、一人じゃないんです!!」
「…葵…
… …」
「……」
暗くて あまり見えないけれど、葵が肩で息をしているのは、影でわかった。
「…違うよ。葵…」
「…!」
アリスが そっと口を開いた。
「…私だって、一人じゃないんだよ。
いや…一人、だった。 でも、今は…」
そう、信じている。
今は…
「…今は…
…葵がいるから
…独りじゃないんだ。
私にとっては… 」
最近、私は良く泣く。
今も、 必死に我慢しているのに。
溢れそうで。
… だって
葵が、顔をクシャクシャにして 泣いているから。
クシャクシャにして、私の胸に飛び込んで来てくれたから。
… だから 我慢、出来ないよ。