あの日の雪を溶かすように
日だまり
それから しばらく
二人は互いに背を向けて
頑なに口を閉じていた。
葵が背中越しにアリスを ちらりと見る。
「…先輩?」
「何?」
「私、考えたんです。」
「何?」
「私…
先輩が、大好きなんですね。」
「うん?」
「だから…先輩。
だから、私ね…
先輩の、代わりになろうと
思うんです。」
「…何?」
満面の笑みを
こちらに向けた葵は
そう言うと、
ゆっくりとゆっくりと
姿を消した。
文字通り、
幽霊のように
目の前から 消えていった。