あの日の雪を溶かすように


アリスは
暗闇の病室で
あの夢のように、天井を見上げた。



これは、違う。


これは、夢じゃない。

流れる空気。
辺りの風景。
静寂の空間…。
確かな現実の感触に、
アリスは口を開けたまま、
声が出せなかった。

そのまま震える体を
ゆっくりと前に倒すと
涙が溢れ出した。

いままでの涙とは違う。

息が出来ない程、苦しくて。
でも、大声は出せなくて。

痛みは無いのに、とても辛くて。
死にたくなる程、悲しくて。






葵…!




葵ッ…!!



何もしてあげてないんだ…!


なんで、こんなに、急になんだよ!?




ありがとう。ごめんな。


ありがとう…!ごめんな…!


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