あの日の雪を溶かすように
「今日で退院なんだよな。良かった…」

「…」

あれから精力的にシュウはお見舞いに来てくれていた。

「…良かった、のかな?」
さらに痩せ細ったアリスが力無い笑顔で言った。

「良かったに決まってるじゃん。
良かったんだよ。
だから…いや、うん。…
良かった。」

シュウはアリスの心情が理解できた。

それに、少しだけ、
自分にもコトの一端があると、罪悪感も感じていた。

彼女を病院に連れてきたのは、自分だ。

もし俺が勝手に騒がなければ、こんなことには…。

「…私、カッコ悪いね。」

「…」
アリスが窓から外を
ぼんやりと眺めながら呟いた。

「死ぬ、死ぬって一人で馬鹿みたいに…
結局、ただの風邪で…
そんなことで…」

アリスの肩が小さく震え出す。


「…私が、殺したのも一緒だ…」

「アリス…それは違うって…何度も…」


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