あの日の雪を溶かすように


「…なぁ、アリス?」


「…ん?」


「俺なぁ…葵の葬式、行ってきたよ。」

「…」

「一、二回喋っただけなんだけどな。
アリスの代わりっつーか…
まぁ、行ってきた。」


「…そうなんだ。
そっか…
……葵、どうだった?」

「その…遺体は、キレイだったよ。
…あの人ってさ、皆に好かれてたんだなって思った。
人がたくさんいて、皆…泣いてた。
それ見てさ、なんかどうしようもなく切なくなって…俺もなんか泣けてきて…」

「…そっか。」


「そんで、コレをさ…
渡されて来たよ。」


「…?」


そう言ってシュウが鞄から取り出したのは、
大きな亀裂の入った、
携帯電話だった。



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