あの日の雪を溶かすように



「それ、葵の家族の人が、アリスにって…。
葵のケータイはな、駄目になっちゃったんだけど…
それはまだ使えるからって…」



「…」



アリスは震える手でケータイを握ると、
そっと開いた。



電話帳には、葵の名前が入っていた。



データフォルダを見ると、
写真が一つ保存されている。




私と、葵の、

二人の写真。

送信されたのは、
葵が死ぬ、3時間前





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