あの日の雪を溶かすように
それを見るとアリスは
思い立ったように
慣れない手つきと
せわしい動きで電話をかけ出した。
「…?アリス?
誰に掛けて…」
シュウはそこまで言うと
何もかもがわかった。
だから、それ以上何も言わなかった。
言えなかった。
アリスの眼は興奮していたが、
涙を一杯に溜めていたから。
「もしもし…もしもし…!」
『この電話番号は、現在使われて…』
「もしもし…もしもし…」
泣きじゃくりながら、
届くハズもない電話を掛け続けるアリスを見て、
シュウは泣いた。
悲しくて、悲しくて、どうしようもなかった。