あの日の雪を溶かすように
そんな矛盾を、頑固なアリスは認めずにいた。
私が人に「何か」を求めるなんてこと、 もう ない。

だって

求めても きっと叶わない。

そんなのって、悲しすぎる。

アリスは無意識の計算の上で行動していた。

求めなければ、きっと向こうから求めてくれる。と。

「大丈夫だょ。ほら。」
そう言うとアリスは笑って、おそらく何かしらケガしたのだろう、
大層な包帯を巻いている
右手をプラプラと軽く振って見せた。

「だめっすよ!!安静にしてなきゃ!!」
葵は焦った様子でアリスを注意した。

「…うん。かな。」
アリスは少しクスッ、と笑って、右手をおろした。
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